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WEEKLY COACH 特別インタビュー

40名を超えるサッカー日本代表選手のトレーニングを支えたコーチが語る 選手の主体性を最大限に伸ばす、コーチングとティーチングの使い分け方

選手の主体性を最大限に伸ばす、コーチングとティーチングの使い分け方

-----喜熨斗さんのこれまでの十数年に及ぶ指導者歴の中では、日本代表選手との関わりも豊富にあると伺っています。

パーソナルコーチをしているKAZU選手(三浦知良氏 現 横浜FC)、ベルマーレ平塚では中田英寿選手、セレッソ大阪では森島寛晃選手、横浜FCでは山口素弘選手。現在は、グランパスの玉田圭司選手、田中マルクス闘莉王選手、楢崎正剛選手、金崎夢生選手、それから………。今思い出すだけでもこれまで40名を超える選手と仕事をしてきましたね。

------40名! それは、すごい人数ですね! では、代表に選ばれる選手たちが持っている共通点を教えてください。

ひと言で言うと、「自分のストロングポイントを理解して、それを試合で使いこなしている選手」ですね。そして、代表の場でもそれを使いこなせる選手がレギュラーに定着していきます。例えば、あなたの身長が2メートルあったら、どんな競技をしますか?

------身長を生かせるバスケットボールかバレーボールですかね。

なるほど。では、50メートル走を5秒で走れたら?

------陸上部に入ります。

そうですよね。つまり、自分の強みを正しく理解すれば、それを上手に使うことができるようになるわけです。でも今のは極端な例であり、すべての選手が自分の強みに気づいているわけではありませんから、そういう選手に気づきを与えるのが、私たちコーチの役目ですね。ただ、代表レベルの選手ともなると、私たちが言わなくても自分でそれに気づいて、効果的な使い方まで分かっているケースが多いですよ。

------今、「選手に気づかせる」とおっしゃいましたが、ある記事で、「Jリーガーの中にも、教えられるのを待っている選手がいる」と書いてあるのを読みました。喜熨斗さんが、指導をするときに心がけているのはどんなことですか?

何といっても「バランス」です。それも、相手に教える「ティーチング」と、気づかせる「コーチング」とのバランス。恐らく、記事のような選手には、まだまだティーチングが足りていないんだと思います。その場合には、まずティーチング中心でコミュニケーションを図り、選手の引き出しを増やしていく必要がありますよね。過去実際にあったことですが、一方的に詰め込まれてばかりいて、結果モチベーションがかえって下がってしまった選手がいました。つまり、ティーチングだけでは限界があるのです。そういうときには、「今度はどうしたらいいと思う?」と相手に問いかけていくなど、コーチングを織り交ぜていく。コーチは試合のピッチには出られないわけですから、「主体は常に『選手』である」ということを私たちは忘れてはいけません。

「選手が今何を望んでいるのか」それを見極め、選手が自分で気づき、成長への努力をしていくようサポートしていく。そのためには、「教える」と「気づかせる」のさじ加減がポイントです。ティーチングとコーチングの知識をバランスよく身につけ、使い分けることが、一流のコーチには欠かせないと思いますね。

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