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WEEKLY COACH 特別インタビュー

「正しい考え方」とは何かを知らなければ、今の私はなかった 小宮流 次世代リーダーが成功するための原理原則

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経営コンサルタントとして十数社の非常勤取締役や監査役を務め、また年に100回以上の講演・セミナーにご登壇、著者としても数多くのベストセラーを持つ小宮一慶氏。今回はそんな小宮氏へのWEEKLY COACH特別インタビューが実現。日本の未来を担うビジネスリーダーが成功するために欠かせない原理原則について、たっぷりとお話を伺いました。

小宮一慶氏
小宮 一慶 氏

経営コンサルタント
株式会社小宮コンサルタンツ代表

1981年、京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。1984年7月から2年間、米国ダートマス大学経営大学院に留学。MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の1993年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1994年5月からは、日本福祉サービス(現セントケア)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。1996年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。

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「直感」を信じる前に、まず「正しい考え方」とは何かを知る

--------以前は弊社のトレーニング受講者向けの電話会議プログラムで、講師を務めていただき、ありがとうございました。

昨年のことでしたよね。覚えていますよ。普段は相手の顔を見て話すことがほとんどなので、電話会議による講演は貴重な体験でした。

--------受講者の方にも大変好評でした。今日は、すでにコーチングの勉強をされている方だけでなく、これから始めようと考えている方や、リーダーシップ、マネジメントに興味・関心をお持ちの方々に、小宮先生の実践されている成功法則をご紹介させていただければと思っています。

分かりました。コーチ的な質問でうまくコメントを引き出してくださいね(笑)。

--------頑張ります(汗)。では、最初に、小宮先生は、十数社の社外取締役や監査役を務められ、書籍も数多く出版されていらっしゃいますが、普段はどのようなことに意識を置いて判断や行動をしているのですか?

実は、自分自身の判断や「直感」というのは、あまり信じていません。そういうものは、往々にして独りよがりになりがちですし、周囲の方にとっても迷惑になりかねない。私の場合は、はるか昔から「正しい」と語り継がれていることに常に忠実であるようにしています。

--------具体的にはどのようなことですか?

例えば、20代後半からは中国の古典の『菜根譚』や『論語』などを読み始め、30代半ばからは、人生の師と仰ぐ、曹洞宗円福寺の藤本幸邦老師に師事していました。最初こそ自分自身が行き詰まりを感じて、こういう価値観に触れ始めましたが、振り返れば、「歴史的に見て正しいと言われていること」を身に付けたからこそ、今の私があると思っています。

これは何も、私に限った話ではありません。あの松下幸之助さんはご自宅でお坊さんと一緒に暮らしていたと言いますし、稲盛和夫さんは仏教を学ばれている。明治時代に500社もの起業を実現させた渋沢栄一さんは『論語と算盤』という書籍を残しています。

-------正しい考え方とは何かを知ることで、どのような変化が生まれるのでしょうか?

私心や金儲けを目的とするのではなく、自ずと「良い仕事」そのものが目的になってきます。大リーグのイチロー選手が良い例です。イチロー選手は金儲けのためにプレーしていると思いますか? 彼は間違いなく、「良いプレー」をするという目的のためにプレーをしている。だからこそ、最高のパフォーマンスを発揮することができるし、結果として、成功を収めることができているわけです。

逆に、最初から、「金儲けしよう」と思って仕事をしていたらどうなるでしょうか。一時的には成功を収められるかもしれませんが、恐らく欲におぼれたり、私心が判断の邪魔をしたり、ということが出てくるでしょう。私はよく、セミナーや講演などでも、経営者の方を前にこう言っています。

「儲『け』るために仕事をするのではなく、儲『か』るくらいに良い仕事をしましょう」と。「良い仕事」の結果として報酬をいただく。成功したビジネスリーダーの方々は、この原理原則を知っていたからこそ、成功したのであり、成功した後にこうした原理原則を身に付けたわけではないのです。

-------小宮先生の日々の活動も、こうした原理原則に基づいてのことなのですね。

そうですね。私は幸いにも、様々な方との出会いや書籍を通じて、こうした原理原則に気づかせていただくことができました。だからこそ、私は、この事実を世の中のもっと多くの方に知っていただきたい。そう思えば、毎月一冊に近いペースで書籍を出したり、年に100回を超えるセミナーや講演でお話しさせていただいたりするのも、まったく苦にはなりません。

「正しい考え方」をベースに、絶対に曲げない信念を持つ

-------そもそもビジネスパーソンにとって、「良い仕事」とはどのような仕事なのでしょうか?

ひと言で言うと、お客様視点で取り組んでいる仕事。もっと深く突き詰めると、「お客様のために」ではなく、「お客様の立場に立って」行う仕事です。「お客様のために」と考え出すと、どうしても自分のエゴが入り込んでくる。「これはきっと、みんなに喜んでもらえるに違いない」と。それも大切な価値観の一つではありますが、私の場合は、常に自分自身が「お客様の立場に立って」、「お客様の視点から」サービスを提供することを心がけています。

また、自分の中に、決して曲げることのない信念を持ち、取り組むのも、「良い仕事」の条件ですね。

以前、こんなことがありました。弊社主催の経営者セミナーの合宿をオーストラリアで行ったのですが、そのとき、どうしても私の信念に合わなかった方がいらっしゃったのです。そこで、私はどうしたと思いますか?

------海外の地ではどうするも何もないですよね。説得されたのではないでしょうか?

いいえ。私は彼にこう言いました。「ご理解いただけないなら、もう帰っていただいていいですよ」と。

当然、大事なお客様ですから、厳しい決断ではありました。しかし、これは私にとって絶対に譲れない部分でした。「規模の大小にかかわらず、日本一を目指して『正しいことをやっている』企業を応援していく」それが私の信念であり、「良い仕事」だからです。

また、他の経営者の立場に立って考えてみてください。その参加者一人のために、私が常にアドバイスしている根幹が覆ってしまったらどうですか? そう考えれば、私はこのときの判断を、ある意味必然だったと思っています。

社会や経済という広い視点を持ち、そこから自分を見つめる

------大変興味深いエピソードをありがとうございます。ただ、多くのビジネスパーソンの場合、たとえ自分の信念に反していたとしても、なかなかお客様にそこまで言えない、ということもあるのではないでしょうか。

確かに、組織に属している場合は、そういうこともあるかもしれませんね。では、どうしたらいいのか。私は、正しい行いや信念に加えて、ご自身ならではの独自の強みや専門性、スキルを磨くことが大切だと思います。それによって、社会や企業におもねる必要性がなくなるからです。コーチングもそういった強みの一つですよね。

このとき注意すべき点は、「自分が強みと思うかどうか」ではなく、「社会や経済から見て、強みやニーズになっているかどうか」という視点で探るということ。独りよがりの強みなど、お客様にとって何の価値もありません。

--------そういう意味では、経済や世の中の状況を把握しておくことは欠かせませんね。

そのとおりです。いくら自分の強みを活かそうと思っても、「世の中で今何が起こっているか」「この先、どのようなリスクがあるのか」といったことを知らなければ、真の成功をつかむことは難しいでしょう。そもそも今は、国そのものが大変危険な状況にある。財政赤字、少子高齢化、デフレ……。こうした背景を押さえたうえで、今の自分を見つめる。そんな広い視野が求められているのです。

--------先日発売された新著『日本経済 このままでは預金封鎖になってしまう』(ディスカヴァー刊)でも提言されていますね。

この本は、今世の中で叫ばれている日本経済の現状を、ビジネスパーソンの方の立場に立って書きました。未来のリーダーである皆さんには、ぜひここに書いている経済や世の中の原理原則を今一度頭に入れておいていただきたい。

目の前の仕事に精一杯取り組むことももちろん大切です。しかし、国が財政破綻してしまったら、私たちの金融資産は吹っ飛んでしまうでしょうし、多くの企業は立ち行かなくなってしまう。そうなれば目の前の仕事はもちろん、会社も、生活も、家族も危機的状況になってしまいます。

自分自身の基盤づくりも大切ですが、それもまずは国という基盤があってこそ、という認識は常に持っておくべきだと思いますね。

行動は信念。意識が変わるまで動き、そして継続せよ

------- では、最後の質問です。ここまでいただいたお話を実践するために、小宮さんが常に心がけていることは何ですか?

難しいことは何もありません。信念に基づいてとにかく行動を起こしてしまうことです。人間、頭で考えだすと、どうしても「やらなくていい理由」を探してしまうもの。「仕事が忙しいから」「金銭的に厳しいから」と条件を挙げればきりがありません。でも、そんな条件は後回しにしてまずは動いてみる。いきなり大きなことをやれ、とは言いません。小さな取り組みからでいい。その積み重ねが徐々に意識変革となって表れてきます。

実際私は、社員にも日々、「まず行動するように」と言っています。毎朝のオフィスの掃除も同様です。意味を考え出すと、動けなくなるので、「とにかくやるように」と伝え、実行してもらっています。私? 当然、やりますよ。毎朝トイレを磨いています。社員にはやらせて自分はやらない、ではしめしがつきませんからね。

「正しい考え方」とは何かを学び、確固たる信念を持つ。そして、それをもとに広い視野から物事や自分をとらえ、決めたことは即実践。これが私の取り組んでいる成功法則です。いかがでしょうか。私の話が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

------早速私も「正しい考え方」が何かを知るところから始めてみようと思いました。今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。また、プログラムの講師に呼んでいただけるのを楽しみにしていますよ。

【終】
インタビュー実施日 2010年10月13日
聞き手:コーチ・トゥエンティワン 花木 裕介


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今回の記事において、ご感想やご意見などありましたら、以下編集部までお気軽にお寄せください。
メールの宛先:editor@coach.co.jp

また、今回の小宮氏のお話にもあった書籍をご紹介させていただきます。ご自身の取り組みにぜひお役立てください。

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