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WEEKLY COACH 特別インタビュー

40名を超えるサッカー日本代表選手のトレーニングを支えたコーチが語る 選手の主体性を最大限に伸ばす、コーチングとティーチングの使い分け方

喜熨斗 勝史氏
喜熨斗 勝史氏

Jリーグ 名古屋グランパスエイト フィジカルコーチ
財団法人生涯学習開発財団 認定コーチ

日本体育大学卒業後、同大学研究員、都立高校の教員を経て、東京大学大学院総合文化研究科に入学し、修士課程修了。関東社会人リーグでフォワードとして 29歳までプレー。97年にベルマーレ平塚のフィジカルコーチを始め、Jリーグ所属のクラブでフィジカルコーチを歴任する。一方、04年から三浦知良氏のパーソナルコーチとして契約。05年以降は、横浜FCでコーチを務め、06年にはJ2リーグ優勝に導くなど、J1昇格を陰で支える。現在は、名古屋グランパストップチームのフィジカルコーチを務めるとともに、早稲田大学スポーツ科学学術院の研究員、日本体育大学大学院講師としても活躍中。また、財団法人生涯学習開発財団 認定コーチの資格を生かし、一流企業のビジネスカウンセリングなどへも活躍の場を広げている。3児の父としての顔も持つ。

選手と監督をつなぐフィジカルコーチという仕事

-----今日はJリーグ開幕前の準備でお忙しいときに、わざわざ名古屋からお越しいただき、ありがとうございます。

いえいえ。実家のある横浜にも一旦立ち寄れましたし、帰りは、幼稚園に通う子どもを迎えに行けますから、全然気にしないでください。愛する家族に会う機会をくださって、こちらこそありがとうございます(笑)。

-----そう言っていただけるとうれしいです。今日は喜熨斗さんに、Jリーグというプロの世界でご活躍されている秘訣などを伺ってみたいと思っています。まずは、 プロのフィジカルコーチという存在について教えていただけますか?

フィジカルコーチというと、みなさんからよく質問を受けるのが、「体を専門的に鍛えるコーチなんですか?」というもの。もちろん、それも大切な役割の一つ ですが、大きくは「選手のコンディションを心身ともに整え、試合で最大限のパフォーマンスを発揮させる」仕事です。監督の要望によって、ウォーミングアッ プから体重・体調の管理まで幅広く対応しています。「ここまでがフィジカルコーチの仕事」という境界線はないので、とにかくチームの勝利のためになること すべてに誠心誠意尽くしていますよ。

-----小さいころから指導者になりたいと思っていたのですか?

学生のころは選手としてプレーしていました。その後も、関東社会人リーグで29歳までプレーしていたんですが、その頃、ちょうどJリーグが華々しく開幕。 自分もそこに本気で関わっていきたいと思い、東大の大学院で専門的な知識を学んだ後、プロコーチの道を歩み始めました。その後は、サポートスタッフとして 日本代表に同行したのを皮切りに、Jリーグのトップチームのコーチを歴任するようになり、今に至っています。

-----今、Jリーグのチームとしては6チーム目と伺っています。新しい環境で、コミュニケーションを図っていくのは大変ではないですか?

「プロのコーチとして必要とされているからこそ、さまざまなチームに呼ばれている」と自分では思っていますので、むしろうれしいですね。新しいチームに 入ったら、まずは選手の特徴を把握し、そのポテンシャルや課題を見つけ出し、コミュニケーションを図っていきます。選手個々とはもちろん、コーチ陣、監督 とも連携を図り、時には選手と監督の架け橋にもなっていくのが、私の役割です。コミュニケーション能力は相当求められる仕事だと思います。

-----新しい選手とコミュニケーションを図っていくときに、心がけていることはありますか?

まずは、常に選手個々にとって「説得力ある存在」「一緒にいたい存在」になることです。試合や練習などピッチの中だけでなく、オフ・ザ・ピッチでも、「こ の人と一緒にやっていきたい」「この人が言うことならやってみよう」と思ってもらえるよう振る舞う。そのためには、発言、知識、持ち物、服装など、あらゆ るものが、選手たちを惹きつけるものでなくてはなりません。もちろん選手も十人十色ですから、すべての選手に同じように、関心を持ってもらえるわけではあ りませんが、少なくともそのための学びは日々積み重ねていき、引き出しを増やしていく必要がありますね。

-----ビジネスシーンにもつながっている話でとても興味深いです。

何も八方美人になるということではないですよ。ただし、同じことを伝えるにしても、「この人が言うのなら…」と思わせる説得力はとても重要だと思います。 特に、私たちの場合、チームとはプロとしての契約ですから、もしかすると来年はまた別のチームに行っているかもしれない。そこで新たに信頼を勝ち得ていく ときに、人間的な引き出しをたくさん持っておくことは必要不可欠なんです。私は、「学びを辞めた者に、指導者をやる資格はない」と思いながらやっています から。そのためには日々勉強、勉強ですよ。

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