前回の記事 第2回 リーダーじゃなきゃいけない」という思い込みを捨てたことで、自信を持ってリーダーシップを発揮できるように
コーチ・トゥエンティワンのサポートの元、早稲田大学ラグビー蹴球部のフルタイムコーチを務める有水剛志氏。現在コーチングを学び、実践で活かしている有 水氏が、肌で感じるスポーツコーチとビジネスコーチの共通点や違いとはいったい何なのでしょうか?
最終回 共通点は「チームやメンバーを勝たせること」と「相手の能力を引き出すこと」
-----コーチ・トゥエンティワンのリーダーシップ開発プログラムに入り、コーチングを学び始めて3ヶ月が経ったとのことですが、やってみてどんな気づきがありま すか?
今年の9月からスタートしましたが、私が学んでいるCTPというプログラムは、さまざまなバックグラウンドを持った方がいて刺激に満ちていますね。管理職 やマネジャー職の方々をはじめ、ベンチャー企業の経営者や飲食店の社長など、普段接することのないタイプの方と学べるので、毎回とても新鮮です。「みなさ ん、日常でどういったリーダーシップを発揮しているんだろう?」という観察を毎クラスで行っていますよ。
------他に印象的なことはありましたか?
最初は、研修のように学んでいくのかと思っていましたが、エクササイズや実践など、学んだことをすぐ行動に起こす仕組みがあるのが効果的ですね。前の週に 宿題として出された内容を一週間実践してくるのですが、驚くほど成果が上がります。

-----例えばどんな効果ですか?
大学ラグビー部のコーチである私の場合、「選手たちの能力を最大限に引き出す」ことを目標にしています。そして、その目標を達成するため、これまで のように選手に直接話しかけるだけでなく、若手コーチたちとの会話の中で、学んだスキルを実践するようにもなりました。
例えば、「相手にオープン・クエスチョン※を使って質問する」という宿題が出たときは、ある選手を話題にしながら、「この選手には今何が足りないん だろう?」「何をさせれば最もスキルが上がると思う?」なんて聞いてみるんです。そうするとそのコーチも当然あれこれ考えますよね。そして、自分で答えを 見つけて次の指導に活かす。結果、「有水さんに話したアプローチを実践してみたら、選手の動きが劇的に変わりましたよ」とか「彼はあまり人の言うことを聞 く選手じゃないのに、今回は素直に聞きました」といった成果が生まれ始めました。こうして日々実践することで、スキルは確実に定着します。そして、実践事 例は次のクラスで参加者の方たちとお互い報告しあうんです」
※オープン・クエスチョン……5W1Hのような相手に自由に答えさせる質問

-----他の参加者の事例で参考になったものはありますか?
ある女性の社長さんの事例は勉強になりましたね。その方、CTP受講前までは、いつも部下に対して、上から目線で物事を伝えていたそうです。でも、「それ じゃいけない」と思い、質問の仕方を工夫して部下から引き出すようにしたら、部下がどんどん能動的になったそうなんです。当然、会社組織に対するモチベー ションもみるみる高まってきたとおっしゃっていました。私もコーチという立場から、選手に対して上から目線で話してしまう危険性があるため、当事者意識を 持つことができましたね。
-----プログラムのカリキュラムについては、どのような印象をお持ちですか?
「聞く」「質問する」「フィードバック」「タイプ分け」など、あらゆるカリキュラムがリーダーシップ開発のためのコミュニケーションスキルに結びつ いているので、普段からコミュニケーションのとり方に意識が向くようになりました。また、系統立てて学ぶことで、対応の選択肢も確実に増えましたね。「こ こはあえてクローズド・クエスチョン※を投げてみよう」みたいな。
※クローズド・クエスチョン……答えをYES/NOで要求する質問で、相手のコミットメントを確認するときな どに効果を発揮する。
-----では、有水さんが考える「スポーツコーチ」と「ビジネスリーダー」の共通点と違いとは?
私の考える主な共通点は2つ。「チームやメンバーを勝たせること」と「相手の能力を引き出すこと」です。逆に違いですが、それはあまり感じません。これま で社会人としてキャリアを積んできましたし、今はCTPを通してさまざまなキャリアをお持ちの方と接していますが、ビジネスシーンでのコーチングは、今ま での自分がやってきたことと似ている部分がかなりあると思います。スポーツに限らず、どの分野においても、リーダーシップを発揮する上で、コーチングとい う手法を身につけておくことは有益だと感じます。
-----最後に今後の抱負をお聞かせください。
「現在は大学選手権に向け、フルタイムでコーチ業に専念しています。こうした環境があるのも、コーチ・トゥエンティワンのサポートがあってこそです。平日 から土日の試合まで、時間をかけて選手を見てあげられるので、選手たちへのさらなる個別対応やリーダーシップ開発が可能になっています。ゆくゆくは、こう した経験をコーチング業界やビジネスシーンにも還元したいですね。
-----日本一に向け、頑張ってください。応援しています。
応援よろしくお願いします。今日はありがとうございました!
いかがでしたか? この記事に対するあなたのご感想や有水氏への質問などを、以下までお寄せください。
メールの宛先:editor@coach.co.jp