Institute of Coaching(米国コーチング研究所、以下IOC)、ハーバードメディカルスクール、マクリーン病院の共同開催による年次カンファレンスが、2024年5月3日~4日の2日間に渡ってアメリカ・ボストンで開催されました。
株式会社コーチ・エィは、今回のカンファレンスでポスター発表を行いました。今回の発表内容の報告とともに、カンファレンスの様子をレポートします。
IOCの年次カンファレンスについて
IOCは、2009年にマーガレット・ムーア氏、キャロル・コッフマン氏の発案で設立された、医療領域におけるコーチング研究や実践に強みをもつ任意団体です。設立以来、サイエンス・ベーストなコーチングの普及・発展を掲げて世界を牽引しています。コーチ・エィは、2017年よりスポンサーとしてIOCの活動を支援しています。
Coaching in Leadership & Healthcare Conferenceは、マクリーン病院に拠点を置くIOCが毎年開催している国際カンファレンスです。第15回となる今回のカンファレンスは、5年ぶりに対面で開催され、世界29ヵ国から約640名のコーチ、医療関係者、リサーチャーなど、世界的な専門家たちがボストン・ウォーターフロントに集まりました。
2日間のカンファレンスは、基調講演のほか、研究成果の発表や、大学やコーチング関連の企業によるブース出展、ネットワーキングセッション、サイン会など、多様なプログラムで構成されていました。本カンファレンスには、コーチ・エィのグループ企業であるCoach Uもブースを出展しました。
基調講演開始前の早朝からネットワーキングセッションが行われ、数多くの方々が参加し、世界の実践家・リサーチャーたちが活発に知見を交わす場面が多くの場で見られました。
研究成果のポスター発表
本カンファレンスでは、通常の学術学会と同様に、ポスター発表がありました。事前応募から審査を経て、最終的に選ばれた26本のポスターが、ネットワーキングセッションやブース出展と同じ会場に終日掲示されました。
ポスター発表では、コーチングの研究で世界を牽引するCase Western Reserve UniversityやOxford Brookes Universityをはじめ、欧米やアフリカを中心とした研究者が研究結果を発表しました。発表内容は、医療領域でのコーチングに限らず、エグゼクティブ・コーチングやピアコーチングなどの多領域に触れられていただけでなく、研究の種類も、コーチングの理論モデルの開発やアセスメント(尺度)開発、介入・実証研究など、多岐にわたっていました。
コーチ・エィ コーチング研究所は、アジアパシフィックエリアからの唯一の発表者として、今回「コーチングセッションの評価ツール」の開発についての発表を行いました。
コーチングは、国内でもマーケットが急速に拡大しています。その一方で、実践先行で発展してきたことから、国内外問わず統一的な品質基準がないことが課題視されてきました。
学術的な場においては、この20年ほどでコーチングの研究知見が急速に蓄積され、コーチングの効果が様々な研究を通じて明らかになってきています。その流れを受けて、近年のコーチング研究は、なぜその効果がもたらされるのか、何がその効果に影響するのか、どのように効果を上げていくのかという、効果に対する影響要因に関心がシフトしています。
そうした研究文脈も踏まえ、コーチ・エィでは、「セッションのプロセス品質をどう測るか」というテーマに向き合い、その測定を可能にするツールの開発を行ってきました。
今回の発表は、その研究成果についてポスターにまとめたものです。
ネットワーキングセッションの時間を中心に、ポスター発表者と来場者とのディスカッションが各所で行われるなか、コーチ・エィの発表した「コーチングセッションの評価ツール」についても、こうしたツールを求めていたと多くのコーチからコメントをいただきました。