経営を一人の優れたリーダーだけで行うには限界があります。持続的に会社を成長させていくためには、経営の役割を担うメンバー同士が対話を持ち続け連携し合っている、いわゆるコラボレイティブな関係を築いていることは重要です。

では、経営メンバー同士がコラボレイティブな関係を築くためには、どのような行動が重要なのでしょうか?

企業の経営チームにおける<経営メンバー同士の対話のつながり>および<経営チームの状態>について、定期的に調査を行いました。
まず、企業理念やその実践に向けて<経営メンバー同士の対話のつながり>が相対的に多いときを『コラボレイティブな関係を築いている経営チーム』、少ないときを『コラボレイティブな関係を築いていない経営チーム』と分類しました。各チームの対話のつながりをイメージしたものが以下の図です。

[図を拡大する]

※1.A.コラボレイティブな関係を築いている経営チーム(B.築いていない経営チーム):経営チームの対話数の割合※2を経年調査した際、その割合がA.平均値以上(B.平均値未満)の時の経営チーム

※2.会社の未来についての対話数の割合:経営チームの対話の総数を、その経営チームの人数における最大値(全ての組み合せ)で除した値

※3.コラボレイティブな関係を築いている経営チーム:n=10、 B.コラボレイティブな関係を築いていない経営チーム:n=13

次に、それぞれの<経営チームの状態>の35項目を比較しました。違いの見られた項目のうち、有意差および有意傾向のある項目を抽出した結果が以下の3項目です。

表.コラボレイティブな関係を築いている経営チームと築いていない経営チームの状態の比較
経営チームの状態 平均値 差分
(A-B)
 
A B
業務執行範囲を超えて意見を伝え合うこと 5.03 4.44 0.58 ***
個人の利益や派閥にとらわれない建設的な関係 5.32 4.92 0.40
互いへの感謝やねぎらいの伝達 5.30 4.99 0.31

経営チームの状態に関する7段階評価の設問35項目より(1.全くあてはまらない~7.とてもよくあてはまる)
経営チームメンバー自身による回答
***:p<.001、†:p<.10

この結果から、経営メンバー同士がコラボレイティブな関係を築くために重要な行動は、経営メンバー一人ひとりが私欲にとらわれずに相手に敬意を示し、自分と異なる専門領域の相手であっても敢えて意見を伝え自分も相手からの意見を聞いていることだと言えそうです。

あなたはチーム作りのために、どんな貢献をしていますか?

調査概要

調査対象:調査を複数回実施した合計23回分のデータ(6社のべ299人の経営メンバー)
調査内容:Dialogue Assessment for Corporate Governance(DACG)
調査期間:2016年1月~2019年9月